誰の遺産について、引き継ぐ(承認)か放棄(相続放棄)するかの選択ができるのか?(代襲相続)
前回と前々回は、再転相続と数次相続の記事をかきましたので、今回は代襲相続と相続放棄について書いていこうと思います。
まず、代襲相続とは?
代襲相続とは、ある方(以下「A」とします。)が亡くなってしまいましたが、そのAの相続人(以下「B」とします。)が、Aが亡くなる以前に亡くなってしまっていた場合に、Bの相続人(以下「C」とします。)が、Aの相続について、Bに代わって相続することをいいます。
代襲相続の具体例
あなたの家族構成を、祖父、父、あなた(孫)と想定します。
令和3年3月に父が亡くなってしまいました。
父の相続人は、あなたのみでした。
令和3年5月に祖父が亡くなってしまいました。
祖父の相続人はあなたのみです。
上記の相続の関係でいうと、祖父が亡くなったことによる遺産が、父に代わってあなたに引き継がれる。
このようなことを代襲相続といいます。
あなたは、誰の遺産について、引き継ぐ(承認)か放棄(相続放棄)するかの選択ができるのか?
この場合のあなたは、祖父の遺産について、引き継ぐ(承認)か放棄(相続放棄)するかの選択ができます。
このように代襲相続は、被相続人の死亡時に、本来相続人となるはずであった者がすでに死亡している場合(例えば、「父-子-孫」のケースで父死亡時にすでに子が死亡しているケースや、「兄-弟」のケースで兄死亡時に弟がすでに死亡しているケースなど)に、当該相続人となるはずであった者の子が、被相続人の財産を当該者の代わりに相続する制度です。
相続放棄しても代襲相続は起こらない?
相続人となるはずの人が相続放棄した場合には、代襲相続により相続権が下の世代に移ることはありません。
民法939条では、「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と規定されています。
相続放棄すればそもそも相続権自体発生しないので、代襲相続も起こらないのです。
被相続人が借金を残して亡くなったときにおいて、その相続人が相続放棄が有効であれば、その下の世代に借金が引き継がれることはありません。
以上が、代襲相続の例です。
再転相続、数次相続、代襲相続どれも似たような言葉で法律関係は全く異なってきますね。
次回は相続放棄の撤回と取消しについて記事にしていこうと思います。
よろしくお願いいたします。