形見である遺産を確実に受け取る方法(先買権)
前回の記事では、相続放棄をしても受け取れるものとして「形見分け」について書いてみました。
今回は、「形見である遺産を確実に受け取る方法」について記事にしてみたいと思います。
形見である遺産を確実に受け取る方法はあるのか?
最も確実に形見である遺産を手にする方法で、限定承認という手続きがあります。
限定承認とは、被相続人の遺産で、債務を弁済し、プラスが残れば相続人がこれを取得し、マイナスが残れば相続人は知らんぷりをすることができる手続きです。
さらに、遺産の中に手放したくない財産などがある場合に、それだけを取得すること(先買権の行使)ができます。
限定承認することで、先買権を行使することができるのです。
なお、限定承認の手続きをするには、相続人全員の承諾が必要です。
また、相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に対して限定承認申述書を提出する必要があります。
そして、先買権を行使することにより、形見である遺産を取得することができるのです。
先買権を行使する際の流れ
先買権を行使する際の流れは下記のとおりになります。
1 家庭裁判所にたいして、先買権の対象物ごとに鑑定人選任の申立てを行い、家庭裁判所が鑑定人を選任する
2 鑑定人が形見である遺産の鑑定を行う
3 相続人が、相続財産管理人に対し、先買権を行使する旨の意思表示を行い、鑑定評価額以上の金額を支払う
先買権は、限定承認の手続きの中で行われるものなので、先買権の行使の前提として家庭裁判所へ限定承認の申述を必要とします。
限定承認および先買権の行使を行う場合の手続きにかかる期間の目安は、およそ6カ月~10カ月程度です。
相続放棄と比べて、複雑で手間のかかる手続きが必要になる為、その代行費用は高額になります。
結論
以上のように、限定承認手続の中で先買権を行使することにより、形見である遺産を確実に取得することができます。
ただし、その手続きは複雑であるため、費用と時間がかかることになるでしょう。
また、税金(みなし譲渡所得税)がかかってしまう場合もあります。
形見である遺産を確実に受け取るために、限定承認手続の中で先買権を行使することを検討している場合において、手続に不安を抱かれている方は、専門家に依頼することをおすすめします。
今回は、「形見である遺産を確実に受け取る方法」について記事にしてみました。
次回は、「債務の弁済をした後でも相続放棄ができるのか」について記事にしていこうと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。