死亡保険金:相続放棄しても受け取れるもの

相続放棄しても受け取れるもの(死亡保険金)

前回の記事では、相続放棄しても受け取れるものとして、未支給年金について書いてみました。

今回は、相続放棄しても受け取れるものとして、死亡保険金について記事にしてみたいと思います。

死亡保険金

死亡保険金とは、死亡保障のついた生命保険加入している場合に、被保険者が亡くなったときに受取人に支給されるお金のことをいいます。
「人が亡くなることにより保険金が支払われる保険」のことです。

受取人を指定した保険契約は、被相続人(被保険者)と保険会社との間で、「受取人が保険会社に対して直接に死亡保険金を請求する権利」を与える旨の合意が成立しています。

受取人を特定の個人に指定した保険契約は、この第三者のためにする契約(民法537条)というものです。

受取人の権利は被相続人(被保険者)が「亡くなったこと」によって発生したのではなく、生命保険契約という第三者のためにする「契約」によって発生したもので、被相続人(被保険者)が「亡くなったこと」は契約内容の条件のひとつに過ぎないのです。

上記のとおり、「受取人が保険会社に対して直接に死亡保険金を請求する権利」は被相続人の権利ではなく、受取人の固有の権利なので、受取人が相続放棄をしたとしても、死亡保険金は受け取ることができます。
逆に、死亡保険金を受け取ったとしても相続放棄をすることができます。

ただし、1つだけ例外があります。
受取人が「被相続人(被保険者)」となっている死亡保険契約については、相続放棄をした場合は死亡保険金は受け取れないですし、死亡保険金を受け取った後は相続放棄をすることはできないことになります。
受取人が「被相続人(被保険者)」となっている死亡保険契約から生じる「受取人が保険会社に対して直接に死亡保険金を請求する権利」は被相続人(被保険者)の固有の権利であり、相続財産となるからです。

それでは、相続放棄をしたものが死亡保険金を受け取った場合、税金の問題はどうなるのでしょうか?

相続放棄をして死亡保険金を受け取った場合、税金を支払わなくてはいけない?

相続放棄をして死亡保険金だけ受け取った場合でも相続税の課税対象になります。
相続放棄した場合は死亡保険金の金額だけが相続税の課税対象になるのです。

生命保険金が相続税の課税対象となった場合に非課税枠はあるのか?

結論:相続放棄をした者は、生命保険金の非課税金額の適用を受けることはできません。

死亡保険金は「残された家族の生活保障」という大きな目的をもった遺産のため、一定の生命保険金が非課税とされています。
相続人が保険金を受け取る場合に限り「500万円×法定相続人数」の額が非課税となります。

しかし、相続放棄をした者は、上記の「法定相続人」の数に入りません。

つまり、相続放棄をして死亡保険金を受け取った者は、この上記の非課税の適用を受けることはできないのです。

それでは、相続放棄をして死亡保険金を受け取った場合、必ず税金を支払わなければならないのでしょうか?

結論:相続放棄をした者は、相続税の基礎控除は適用されます

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人数」です。
この法定相続人の数に、相続放棄をした者は含まれるのです。

死亡保険金が上記の基礎控除額の範囲内であれば、そもそも相続税はかかないことになります。

つまり、相続放棄をして死亡保険金を受け取った者は、この上記の相続税の基礎控除の適用を受けることができるのです。

皆様は単純に、生命保険金の非課税金額の適用を受けることはできないが、相続税の基礎控除は適用はされるという事を認識して頂ければ大丈夫です。
具体的に税金がかかるのか否かは税理士の先生に相談することをおすすめ致します。

弊所が提携させて頂いている税理士の先生を紹介することも可能ですので、お気軽に相談して頂ければ幸いです。

今回は、相続放棄をしても受け取れるものとして「死亡保険金」について記事にしてみました。

次回は、相続放棄をしても受け取れるものとして「葬祭費、埋葬料」について記事にしていこうと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。