相続放棄をした後の撤回や取消しの主張3
前回は、相続放棄の効力をあとから否定する、撤回と取消しの用語の意味について記事に致しました。
今回は、どのような場合に相続放棄の効力をあとから否定する「撤回」「取消し」ができるのかについて記事にしてみようと思います。
「撤回」「取下げ」はちがう?
相続放棄の撤回はできません。
よく相続放棄の受理前であれば「撤回」できると説明されますが、相続放棄の受理前は「撤回」ではなく、それは「取下げ」という手続きです。
相続放棄の撤回取消しの記事でも説明したとおり、撤回とは一旦効力が生じたものをあとからなかったことにすることです。
相続放棄の受理前は、相続放棄の効力が生じていないので「撤回」ではなく、「取下げ」なのです。
なぜ、相続放棄をあとから撤回することはできないのでしょうか。
なぜ相続放棄の撤回はできないのか?
撤回の典型的な例としては、相続放棄後に気が変わった場合です。
このような、恣意的な理由を原因として相続放棄をなかったことにすると、法的安定性を欠きます。(いろんな人に迷惑がかかる)
さらに、この場合ですと相続放棄の申述の時点では、意思表示には何ら問題がありません。
なので相続放棄を撤回することはできないとされているのです。
では、自ら相続放棄の効力を、なかったことにすることはできないのでしょうか?
自ら相続放棄を取消すことにより、あとから相続放棄をなかったことにすることができます。
では、相続放棄の取消しができる場合とはどのような場面なのでしょうか?
・詐欺または脅迫によって相続放棄させられた場合
・未成年者が法定代理人の同意を得ずに相続放棄した場合
・成年被後見人本人が相続放棄した場合
・後見監督人がいるのに、被後見人もしくは後見人が後見監督人の同意を得ずに相続放棄した場合
・被保佐人が保佐人の同意を得ずに相続放棄した場合
以上の場合に相続放棄の取消しが可能となります。
いづれも、相続放棄の申述の時点で問題があった場合です。
相続放棄後の事情ではありません。
このような場合には、相続放棄をあとからなかったことにすることを認める余地があります。
相続放棄の意思表示に問題があったからです。
では、相続放棄の申述の時点で、意思表示に問題があった場合には、必ず相続放棄の取消しができるのでしょうか?
次回は、相続放棄の相続放棄の申述の時点で、意思表示に問題があった場合に、必ず相続放棄委の取消しができるかどうかを記事にしてみたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。