相続放棄をした後の撤回や取消しの主張

相続放棄をした後の撤回や取消しの主張

「相続放棄をした後」に、「撤回」をすることが  できない。
「相続放棄をした後」に、「取消し」をすることが できる。

今回の記事は、全体的な流れとして、「相続放棄をした後」「撤回」「取消し」の用語の説明をした後に、どのような場合に「撤回」「取消し」ができるのかを記事にしていきたいと思います。

今回は、「相続放棄をした後」について。

民法では、このような条文が存在します。

第919条1項
「相続の承認及び放棄は、第915条第一項の期間内でも、撤回することができない。」

この条文は、いったん相続の承認と放棄をした後は、相続の放棄ができる期間内においても、その承認と放棄は撤回することはできないという規定です。

それでは、その「相続の放棄をした後」とは、相続放棄の手続きの中で具体的にどのような場面なのでしょうか?

・家庭裁判所に、申述を発送した時?裁判所に到達したとき?
・裁判所から、照会書が発送されたとき? お客様のもとに到達したとき?
・裁判所から、相続放棄の受理通知書が発送されたとき? お客様のもとに到達したとき?

【相続放棄をした後とは?】

・「相続放棄をした後」とは、相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された後のことをいいます。

相続放棄が受理された後は撤回することはできません。

それでは相続放棄の受理前にはどのような手続きができるのでしょうか?

相続放棄の申述(申し述べること。)が、家庭裁判所において受理される前であれば相続放棄の申述を取下げることができます。

相続放棄の撤回とは、一旦受理された相続放棄の効力をなかったことにすることです。
受理される前の手続きは撤回ではなく、申述の取下げです。

それでは「相続放棄の申述が受理される前」とは具体的に、どのような場面なのでしょうか?

【相続放棄の申述が受理される前とは?】

相続放棄の手続きの流れとして以下のような流れがあります。

1、家庭裁判所に相続放棄の申述をすると、1週間から10日程度の期間で相続放棄の照会書が
送られてきます。(※照会書とは、裁判所からの質問状です。)
2、お客様は、その相続放棄の照会書に対する回答を記入した後、家庭裁判所にその照会書
を送り返します。
3、2から、1週間から10日程度の期間で相続放棄受理通知書が送られてきます。

・「相続放棄が受理される前」とは、ざっくり言うと上記の相続放棄についての照会書の返送前の段階のことをいいます。

つまり「相続放棄の照会書に対する回答を送り返す前」であれば、相続放棄の取下げができることになります。

以上が、「相続放棄をした後」の具体的な場面です。

次回は、「撤回」「取消し」についての記事にしたいと思います。
よろしくお願いいたします。